14日から「ギャンブル等依存症啓発週間」です。ギャンブル依存症を疑われる人は福岡県内だけで7万6000人いるとされています。オンライン化で、若年層も手を染めやすくなったとされるギャンブル。当事者の男性は、オンラインカジノが「人生を狂わせた」と話しました。
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福岡県庁のロビーでは、パネル展が開かれています。
■中村安里フィールドキャスター
「きょうからギャンブル依存症の啓発週間ということで、こちらではパネル展が開かれています。ギャンブルをやめられなくて人生をやめたくなったなど体験談も書かれています。」
ギャンブルに依存する人の体験談のほか、「児童手当がギャンブルに使われている」と書かれた啓発ポスターも掲げられています。
ギャンブル依存症とは、賭け事のために借金をするなど、生活に影響が及んでもギャンブルを続ける衝動が抑えられない病気です。
記憶に新しいのは、大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告です。違法賭博の借金返済のため、大谷選手の口座から無断で26億4000万円あまりを不正にブックメーカーに送金していたという水原被告は、自身が「ギャンブル依存症」であると打ち明けたといいます。
福岡県によりますと、ギャンブル依存症が疑われる人は、県内におよそ7万6000人いるとされています。そして今、危惧されていることがあります。
■福岡県 健康増進課・山口智子係長
「ネットによるギャンブルが増えていると言われています。」
コロナ禍で家で過ごす時間が増え、インターネットに触れる時間が増えたことが背景にあるとされています。
12日、1人の男性がFBSの取材に応じました。
■当事者の男性(35)
「オンラインカジノが自分を本当の意味で狂わせた一つのギャンブル。」
愛知県で大手企業に勤務する35歳の男性。大学時代からのめり込んだギャンブルをやめられず、6年前、オンラインカジノに手を出しました。借金は500万円に上ったといいます。
勤務先から支給されたおよそ20万円のボーナスは、カジノの賭け金としてわずか2日で消えていきました。
■男性(35)
「2023年6月20日にボーナスで19万1000円を銀行に入れて、そこから2万円、2万円、2万円、2万円、3万円とか入金して、どんどんと、なくなっては入金し、なくなっては入金しということをしていました。」
男性がのめり込んだオンラインカジノ。その時の精神状態は、まさに「依存」そのものでした。
■男性(35)
「1回1ドル100円で賭けていて、それが10万円になりましたってなると、もう10万円になった瞬間にこれとこれとこれ返せるじゃんって頭の中を鮮明によぎるが、出金のボタンが押せない。なぜなら、それよりも大きなお金を得るために大きなお金を投じる必要性が出るので、なので、また軍資金に必要だってなって、誰からの借金も返せることなく、ゼロになるまで賭け金を上げ続ける。」
男性は現在、同じ悩みを持つ人が集まる自助グループで、依存を断ち切るためのプログラムに取り組んでいます。
全国ギャンブル依存症家族の会福岡の代表・村田麿美さんは、インターネットを入り口にギャンブルを始める若年層が増えていると話します。
■全国ギャンブル依存症家族の会 福岡・村田麿美代表
「コロナ禍以降、低年齢化。10代から20代前半の相談がとても増えています。全国的に。3月の相談会では高校生でオンラインカジノをやっているということで、親御さんが相談に来たケースもあります。」
若い世代にも危険が忍び寄る「ギャンブル依存症」。村田さんは、一人で悩まずに相談してほしいと訴えます。
■村田代表
「自分はギャンブル依存症じゃない、借金を返せば何とかなると思ってやり続けている人たちもいらっしゃると思うが、ギャンブル依存症という病気なんです。自分でしっかりと『苦しいんです。やめられないんです』と声を上げてほしい。」
こちらは支援団体を訪れたギャンブル依存症「当事者」の数を示したグラフです。注目したいのは10代から30代が占める割合です。
コロナ禍前の2019年が全体の65%だったのに対し、2023年は全体で79%とほぼ8割を占めていて、低年齢化が進んでいることが分かります。支援団体は、ギャンブルのオンライン化で、スマートフォンさえあればいつでもどこでも、そして誰でも始められる環境ができてしまったためと分析しています。
福岡県や福岡市などでは、ギャンブル依存症の人を対象に相談窓口を設けています。一人で抱え込まずまずは相談してみてください。
▽福岡県精神保健福祉センター 092-582ー7500
▽福岡市精神保健福祉センター 092-737ー8829
▽北九州市精神保健福祉センター 093-522ー8729
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